『マンガでわかるうつ病のリアル』(錦山まる 著/KADOKAWA)
疲れた心が楽になる本について【どんな著者】が【どんな経験・背景】をもとに書いたのか【客観的】な情報と主観的なコメントを添えて紹介
書籍情報
評価 | |
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購入形式(紙・Kindle・Audible) | 紙/Kindle ※コミックエッセイ |
出版社 | KADOKAWA |
試し読み | なし |
紹介ページの充実度 | あまり詳しくない(Amazon紹介ページ) |
誰が書いた本?(執筆時の年齢、著者サイト)
著者名 | 錦山まる |
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執筆時の年齢(出版年-生まれ年) | 32歳(2020年出版-1988年生まれ) |
関連サイト | @nishikiyamamaru – Twitter 錦山まる公認Youtube |
どんな立場で書かれている?(職業、経験・キャリアなど執筆背景)
著者の職業 | 漫画家 本人Twitterでは「メンヘラマッスル女装作家」と自称 |
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経験・キャリアなど執筆背景 | 21歳で漫画家としてプロデビューするも、24歳でうつ病になり、以後SNSやネットでうつ病自伝マンガを配信。26歳のときに自死を図るも一命をとりとめ、精神科病院の閉鎖病棟に入院した経験。 |
執筆経験、本書の準備期間
過去の著作点数 | 2点 |
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前作から本書発行までの経過期間 | 『「うつ」は甘え?君にサーチあれ。』より約1年半 |
売れゆき(刷数・発行部数、書店ランキングなど)
刷数・発行部数 | 情報なし |
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書店などのランキング情報 | 情報なし |
主観による評価
文体・雰囲気・謙虚さ | 表紙や絵のタッチだけでなく、女の子の生活が描写されているので、著者は当然女性なのだと思い込んで読んだ(下着を買いに行くシーンや生理の辛さなどの描写あり)。文中ずっと「筆者は」と書いているので、自称「メンヘラマッスル女装作家」の立場で書かれていることに気づけず、p101で突然「僕」という単語が出てくるので戸惑う。 |
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他書からの引用、参考文献 | データなどの出典は文中に明示 |
誤字・脱字 | 特に気づかず |
タイトルと内容のギャップ | 問題なし |
感想
4コマ漫画の後に3ページずつの文章が添えられている構成。著者が<はじめに>で述べているとおり
うつ病の人がうまく説明できないうつ病のつらさを「このページ読んで!」と言って周りに見せれば説明できる本
である。
登場する友人やペットの猿とのやり取りはコミカルで読み物として楽しめる。ただ、他の人に見せるという目的で読むには、読者ターゲットは限定されるかも知れない。
主人公が女の子なのと、絵のタッチが子供っぽいので、男性読者が家族に見せるようなシチュエーションを想定すると、変な誤解が生まれそうなので注意が必要だ。
しかしながら、全体の雰囲気はライトなのに、内容は濃密。
うつ病のときは文章がなかなか頭に入らないことに配慮して、無駄のない効果的なエピソードや説明のみに絞っているように思う。
なかなか経験できない精神科病院の閉鎖病棟での入院エピソードも胸が熱くなった。
最後の「今うつ病に苦しんでいるあなたに伝えたいメッセージ」は心を打つ。
筆者はずっとずっと「うつ病になる前の自分に戻る」がゴールだと考えていました。元の自分に戻らなければ漫画家に復帰できない。元の自分のようにバリバリ漫画を描けなければ、この大変な業界で活動なんてしていけない…… そんな風に考えていました。(略)
とてもつらかったですが、自問自答をするうちに「元の自分に戻らなければ漫画が描けないわけではない。病気のまま活動している漫画家もいる。元の自分に戻る事だけが復帰の道ではないのではないか……」と思い、自分のゴールが「漫画家に戻る」であって「うつ病になる前の自分に戻る」ではない事に気づきました。
そして「漫画家に戻れるなら必ずしも完全寛解しなくてもいいし、薬が一生必要だったとしてもいいや」と ”うつ病を消す” 考えから ”うつ病を受け入れる” 考えに変わり、気持ちが一気に軽くなったのをよく覚えています。
「うつ病になる前の自分に戻る」が正解とは限らない!
心に留めておきたいフレーズである。

