心の病 経験者(男性)

【ダメな自分】と向き合い【ネガティブ】や【ストレス】に対する免疫を作るには【どん底】は必要! 挫折とうつを経たスポーツメンタルコーチ鈴木颯人さんの言葉

『弱いメンタルに劇的に効く アスリートの言葉――スポーツメンタルコーチが教える “逆境” の乗り越え方』(鈴木颯人 著/三五館シンシャ)

アスリートは「ポジティブ=成功」という構図で強調されがち。プロ野球選手を夢見た著者が挫折とうつ病経験を経て、アスリートたちの言葉を添えて送る、弱いメンタルを成長のチャンスにするメッセージ。

書籍情報

評価
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出版社 三五館シンシャ
試し読み 不可
紹介ページの充実度 詳しい(Amazon紹介ページ

誰がどんな立場で書いた本?(年齢、職業、経験・キャリアなど執筆背景)

著者名 鈴木颯人
執筆時の年齢(出版年-生まれ年) 36歳(2019年出版-1983年生まれ)
執筆時の職業、プロフィール スポーツメンタルコーチ。一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会代表理事。
経験・キャリアなど執筆背景 スポーツメンタルコーチ歴8年。野球、サッカー、水泳、柔道、サーフィン、競輪、卓球など、競技・プロアマ・有名無名・年齢・性別を問わず、累計で1万人以上、年間で1000人以上のアスリートと接している。

自らの挫折経験をもとに、脳と心の仕組みを学びながら、勝負所で力を発揮させるメソッドを構築。そのコーチングによってパフォーマンスを激変させるアリスートが続出。自らのコーチングに活かすため、日々、一流アスリートたちの言動も研究。

(著者の挫折経験)
中学までは野球部のピッチャーとして活躍し、強豪校にスポーツ推薦で入学し、プロ野球選手をめざすも結果を出せず挫折。大学時代はパイロットをめざすも挫折。

8年前、会社勤め(生徒数200名を超える学習塾で副教室長のポジションで毎日終電で帰る生活)のときにうつ病と診断(2011年3月)。後に、東日本大震災が起こり完全に心が砕けてしまったと本書で明かす。

著者の関連サイト
鈴木颯人オフィシャルサイト
@HayatoSuzuki11 – Twitter

執筆経験、本書の準備期間
過去の著作点数: 2点
前作から本書発行までの経過期間: 『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』より5カ月

売れゆき(刷数・発行部数、書店ランキングなど)

特に情報なし

主観による評価

文体・雰囲気・謙虚さ 自分の弱さをさらけ出していて好感持てる。
他書からの引用、参考文献 巻末に「出典一覧」として58点(ウェブサイト含む)記載。本文中にも必要に応じて出典の明記があり。
誤字・脱字 特に気づかず
タイトルと内容のギャップ 特に問題なし

感想

なるとし
なるとし
アスリートに限らず、何かに取り組もうとしている人に勇気を与えくれる、この本を自信をもってオススメします!!

著者の琴線に触れた、アスリートの言葉を通して励ましてくれる本。

アスリートたちの名言集というスタイルではない。

むしろ著者のメンタルコーチとしてのスタンス、解釈に厚みや裏付けを持たせるために、アスリートたちの名言を添えている感じ。

著者のスタンスがいい。

私が行なっているのはメンタルトレーニングではなく、メンタルコーチングです。

「心を鍛える」という意味で私のことをメンタルトレーナーと思っている方も多いのですが、メンタルコーチとして私は常々、心は鍛えるものではなく、育てていくものだと思っています。筋トレとおなじような感覚でメンタルを捉えてほしくないのです。

どちらかというと、私は心との正しい向き合い方を重視しています。鍛えるのではなく、植物を育てるかのように労ってほしく、メンタルコーチという肩書きを使っています。

出典:『弱いメンタルに劇的に効く アスリートの言葉』鈴木颯人 著/三五館シンシャ

肩書が「メンタルトレーナー」だろうと「メンタルコーチ」だろうと、素人にとっての受け止め方に大差はないように思う。

しかし、我々が持つイメージとしては、本番でアスリートたちが結果を出せるようメンタル(精神力)を【鍛える】イメージが確かにある。

だから「心との正しい向き合い方」「鍛えるのではなく労う」という姿勢は新鮮だし、心を病んでしまった人には受け止めやすい。

「おわりに」でも著者はこう述べている。

私はこんな質問をされることがあります。

「選手の結果を出すことについて、プレッシャーを感じませんか?」

私はこう答えます。

「あまり感じません。なぜなら、私は選手の出す結果は二の次で、一番の目的は選手に幸せになってもらうことだと思っているからです」

出典:『弱いメンタルに劇的に効く アスリートの言葉』鈴木颯人 著/三五館シンシャ

本書には、少々レベルの高いことが書かれてはいるのも事実。
ただ、スポーツや部活動などに打ち込んだ経験のある読者にとって

「そう言えば、壁にぶち当たったことあったなぁ」
「あの時、何とか乗り越えてきたんだよなぁ」

と自分の成功体験を過去形として思い出せるきっかけとなるかもしれない。

私にとっては、以下のメッセージが響いた。

  • 【ダメな自分】と向き合う
  • 【ネガティブ】や【ストレス】を受け入れる
  • 【どん底】を恐れない
  • 【ネガティブ】な出来事を成長に必要なものだと捉える

「うつ病を体験、克服したからこそ」を売りにしている著者ならではのメッセージなので説得力があり、苦しんでいる状況から我々がどう抜け出すかのヒントになる。

これに関連して、元ハンマー投選手の室伏広治氏の言葉も紹介しておく。

弱い負荷しか体験したことのない人間は、強い負荷に耐えられない。「負」に対する免疫を作るためにはどん底を恐れてはいけない。いやむしろどん底をともにすべきだ。(室伏広治)

出典:『弱いメンタルに劇的に効く アスリートの言葉』鈴木颯人 著/三五館シンシャ

どん底を「歓迎」とまではいかないまでも、今が【どん底】と考えるなら、今後はこの負荷に耐えられるようになるのだ、と考えることはできるかも知れない。

ついでに言えば、中国の『菜根譚』の一節にも「伏すこと久しきは飛ぶこと必ず高し」(長い間我慢を重ねて力を蓄えていた鳥はいざ飛び立てば必ず高く舞い上がることができる、の意味)という言葉がある。

昔から言われている真理なので、信じてみよう(今は辛いけど)。

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