『頑張らなければ、病気は治る―――がん、うつ、慢性疾患や難病・・・すべて「頑張らない」から治るのです』(樺沢紫苑 著/あさ出版)
「完全に治す」ではなく「今よりよくなる」を目標にすれば「病気になったおかげで、自分の人生を見直すきっかけになった。病気になってよかった」と思えるかも。
書籍情報
評価 | |
---|---|
購入形式(紙・Kindle・Audible) | 紙/Kindle |
出版社 | あさ出版 |
試し読み | 不可 |
紹介ページの充実度 | 普通(Amazon紹介ページ) |
誰がどんな立場で書いた本?(年齢、職業、経験・キャリアなど執筆背景)
著者名 | 樺沢紫苑 |
---|---|
執筆時の年齢(出版年-生まれ年) | 51歳(2016年出版-1965年生まれ) |
執筆時の職業、プロフィール | 精神科医、作家、映画評論家 |
経験・キャリアなど執筆背景 | 精神科医になって20年。アメリカの精神医療を学び(3年間留学)、インターネットを介して不特定多数の患者とも交流。
あとがきに「なかなか治らない病気を治す本を書きたい。何年も前から温めてきた企画」との記述あり。 |
著者の関連サイト
精神科医・樺沢紫苑公式ブログ
@kabasawa – Twitter
精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル – YouTube
樺沢紫苑 – Wikipedia
執筆経験、本書の準備期間
過去の著作点数: 10点以上
前作から本書発行までの経過期間:
『毎日90分でメール★ネット★SNSをすべて終わらせる99のシンプルな方法』より1カ月
売れゆき(刷数・発行部数、書店ランキングなど)
情報なし
主観による評価
文体・雰囲気・謙虚さ | 全体的に上から目線な感じは否定できない。 |
---|---|
他書からの引用、参考文献 | 巻末に参考文献(14点)を明記 |
誤字・脱字 | 特に気づかず |
タイトルと内容のギャップ | 特に問題なし |
※【参考文献】を掲載している例として、樺沢紫苑氏の著書をこちらで紹介しました。
感想
医療分野にとどまらず、数多くの著書を手がける、樺沢紫苑氏の本。
「頑張らなければ……」というタイトルから、読者への優しい言葉を期待するかも知れない。
しかし、簡単に裏切られるので注意した方が良い。
心が弱っている人には、あまりオススメできない。
冷静に読み進められる方、あるいは「毒あり」と認識の上であれば【取扱注意】だが読んでもいいかも知れない。
ゆるいメンタル本に「こんな感じで本当に大丈夫だろうか?」とたまに不安になることもある方(疲れている時はそれでいいんですよ!)や
「たまにはビシッと言って欲しい」
なんて思える方には、刺激があっていいかも知れない。
ピックアップ
樺沢氏は、病気を治すには「否認→受容→感謝」のステップを踏む必要があると述べている。
「否認」→「受容」
「受容」のステップに進むにあたり、5つの「頑張らない=闘わない」の実践を挙げている。
【頑張らない=闘わない】こと
- 闘病を頑張らない
- 名医探しを頑張らない
- 「自分を責めること」を頑張らない
- 「薬を疑う」ことを頑張らない
- 完全に治そうと頑張らない
「うつ病になったおかげで、過労死を回避できた」
「病気はあなたの味方」と考えるのが①。
以下、まとめると
病院を転々とすれば、診察はイチからやり直しで治療開始が遅れる(②)。
樺沢氏によれば、同じ医者に3回は通院して欲しいそう。
「ああしておけばよかった」「こうしておけばよかった」などの自責の念はストレスとなり、逆効果。すべきことは「責める」ではなく「ゆるす」こと(③)。
副作用がつきもの、必ず効くとは限らない薬だが、「飲んでも効かない」と思って飲むと効果は出ない。プラセボ(偽薬)の効果が実証されているように、信じて飲めば本来人間が持っている「自然治癒力」が発揮されやすくなる(④)。
「完全に治す」を目標にするのは100点満点を目指すことは、不安やストレスにより自然治癒力を低下させる。「今よりよくなる」を目標にすると、「よくなってる」「こんなに治ってる」と思えて、自然治癒力が高まって更に治っていく(⑤)。
「受容」のコツ
「病を克服した人の手記」(本)を読む
治癒するまでの経過をあらかじめ知ることで、自分が今のどの辺にいるのかがわかる。回復後のイメージが湧きやすく、不安が減る。
不安が減れば、「自然治癒力」も高まる。
「受容」→「感謝」
「完全に治す」ではなく「今よりよくなる」を目標とすることで、「治っている」と実感しやすくなる。すると自然に「感謝」の気持ちが湧きあがる。
今まで「敵」であり「闘う対象」であった「病気」に対しても、「病気になったおかげで、自分の人生を見直すきっかけになった。病気になってよかった」と感謝の言葉も出るようになる。
出典:『頑張らなければ、病気は治る』(樺沢紫苑 著/あさ出版)
アメリカの実験では、感謝することで「健やかな行動」が促されて、病気の症状が少なくなるという報告があるそう。

本書のストーリーはこんな感じ。
全体的に「治らないのは患者が悪い」というニュアンスが感じられなくはないが、素人が中途半端な知識や経験論で、医者・治療法・薬についてケチをつけるよりは、これらを信頼した方が良い。
多少の【上から目線】を差し引いても、豊富な医師としての経験に加えて、読書や映画などのコンテンツからのインプット量をふまえれば、【闘わない】で【信頼】して読んでみてはいかがだろう。
