『あきらめよう、あきらめよう 不安、イライラ、怒り、執着を消すヒント』鈴木秀子 著/アスコム
| 苦しいとき、悲しいときこそ聖なるあきらめを | ありのままの自分を愛するために | 聖なるあきらめが導いてくれる穏やかな心 | あきらめることで自分を見失わなくなる | 人間として成熟するための聖なるあきらめ |
書籍情報
評価 | |
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購入形式(紙・Kindle・Audible) | 紙/Kindle |
出版社 | アスコム |
試し読み | 不可 |
紹介ページの充実度 | 著者メッセージあり(Amazon紹介ページ) |
誰がどんな立場で書いた本?(年齢、職業、経験・キャリアなど執筆背景)
著者名 | 鈴木秀子 |
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執筆時の年齢(出版年-生まれ年) | 88歳(2020年出版-1932年生まれ)※生年情報はWikipediaより |
執筆時の職業、プロフィール | 聖心会シスター |
経験・キャリアなど執筆背景 | 「長年にわたり、全国および海外で講演活動を行い、多くの相談を受けてきた。特に、「聖なるあきらめ」によって自分も周りも幸せにする生き方には、悩める人たちから多くの喜びの声が届いている。著書に、44万部突破の『9つの性格エニアグラムでみつかる「本当の自分」と最良の人間関係』(PHP研究所)のほか、『あなたは、あなたのままでいてくださ。』(アスコム)、『今、目の前のことに心を込めなさい』(海竜社)、『自分の鼻を精いっぱい咲かせる生き方』(致知出版社)など多数。」
(出典:巻末の著者紹介より/原文ママ) |
著者の関連サイト
シスター鈴木秀子 official web site
シスター鈴木秀子の祈り – アメブロ
鈴木秀子 – Wikipedia
執筆経験、本書の準備期間
過去の著作点数: 50点以上
前作から本書発行までの経過期間: 『子供聖書』より6カ月
売れゆき(刷数・発行部数、書店ランキングなど)
不明
主観による評価
文体・雰囲気・謙虚さ | 優しい語り口(まさにシスターという感じ)。各々のエピソードは短めだが盛りだくさんの印象。泣ける話が多い。 |
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他書からの引用、参考文献 | 見当たらない |
誤字・脱字 | 誤字あり(巻末の著者紹介に複数個所) |
タイトルと内容のギャップ | 特に問題なし |
感想
【あきらめる】という言葉には、言葉のとおり【諦める】という意味と仏教由来の言葉で【明らめる】(物事を明らかにする)という意味があることは、最近ではよく知られていること。
鈴木氏は、現状を把握して(明らめて)、「自分の力では変えられないこと」はあきらめ(諦め)ましょう・・・ というアプローチで話を進める。
このアプローチは、天才ハードラーと呼ばれた為末大氏が著書『諦める力』で語った切り口と少し似ているかも知れない。
【為末氏のアプローチ】
- 頑張っても「仕方が “ない”」こと
努力でどうにもならないことに気づき【諦める】 - 「仕方が “ある” 」こと
「仕方が “ない” 」ことに気づくことで「仕方が “ある” 」(努力してうまくいく余地がある)ことが存在していることに気づける

鈴木氏は以下のように述べる。
「明らめる」ことで、本来の目的を思い出したら、モチベーションも上がってきますし、同時に、「諦める」ことで、おのずからほかの選択肢が見えてきます。
出典:『あきらめよう、あきらめよう』鈴木秀子 著/アスコム
頑張ってもどうしようもない(仕方のない)ことに見切りをつけて【諦める】ことで、頑張りようのある【可能性】や【選択肢】が見えてくる、という発想はおもしろい。
あきらめることは逃げることではない
というアプローチは本書の中でも出てきたし、藤野智哉氏(精神科医)の著書『あきらめると、うまくいく』の中でもメッセージとして出てくる。
おそらく【諦める】という一見ネガティブなワードをポジティブに捉え直す切り口は、だいたい共通していそうだ。

さて、鈴木氏の著書に話を戻そう。
本書で紹介されているエピソードは、家族の不幸に関することが多く、思わず嗚咽を漏らしてしまいそうな、辛くて悲しい境遇の方の話が多い印象だ。
涙活としては十分過ぎるほど心を震わせるが、精神論が少々多くて、実用書として読むには期待しない方が良いかもしれない。
こんなにも辛い境遇に置かれているのは私だけなの!?
といった感情なら、救われる気持ちになるかも知れない。
努力してもどうにもならない【仕方がない】ことは、【諦め】て気持ちをラクにしてしまいたいものだ。

