はじめに結論を言います!
【疲れた心が楽になる】上で、一番大切なポイントは<楽しめる>ことに取り組んでいるかどうか、だと私は考えています。
【疲れた心が楽になる】本を探すためのヒントをお読みいただく前に、<楽しめる>ことがなぜ大切なのか、私の好きな言葉を3つ取り上げながら、ご説明したいと思います。
孔子の言葉
私の好きな言葉で、『論語』(巻三 雍也第六)を記した孔子の言葉に次のようなものがあります。
子曰く、之を知る者は、之を好む者に如かず。之を好む者は、之を楽しむ者に如かず
孔子先生は言われた。「これを知るという者は、これを好きであるという者には及ばない。これを好きという者は、これを楽しんでいるという者には及ばない」。
出典:『全文完全対照版 論語コンプリート: 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』野村根太郎 著/誠文堂新光社
知る 好む 楽しむ
『論語』の訳本を8冊ほど読んで比較してみましたが、おおむね上記のような解釈の本が多かったです。
驚いたのは、ネット上で調べてみると、以下のような<意訳>を紹介されている方が数多くいらっしゃることです。
天才は努力する者に勝てず、努力する者は楽しむ者に勝てない
誰による解釈・訳なのかを明記しているサイトは、残念ながら見つけられませんでしたが「とても良い解釈だな」と感心しました。
為末大氏の言葉
「天才」について触れましたが、ハードルの元日本記録保持者である為末大氏も、かつて「天才ハードラー」と呼ばれていました。
為末氏がハードル選手ではなく100メートルの選手だったことは、ご存知の方が多いかも知れません。為末氏は、100メートルの選手だった当時、なかなか勝つことができず、とても練習がつらかったそうです。
為末氏は、著書で次のように語っています(詳しくはこちら)。
才能のある人は、練習の一部は娯楽になっている可能性がある。しかし、才能のない人たちにとってみたら、練習は苦役でしかない。
出典:『諦める力』為末大 著/プレジデント社
100メートルに限界を感じた為末氏は、悩んだ末にハードルに転向しました。
しかし、この転向(つまり、100メートルを【あきらめる】)をポジティブにとらえることができたのは、だいぶ後になってからだと明かしています。
このような経験をふまえて為末氏は、(練習における)努力が苦痛になっている人と喜びに感じている人がいる、さほど頑張らなくてもできてしまうことが何かを自問することが大切、と語っています。
努力をせずとも優秀な天才、あるいは何に対しても努力できる資質や才能を持つ人は、もしかしたら存在するかも知れません。
しかし、そのような稀有な人であっても、楽しみながら努力できる分野に注力する方が効率的だと思いませんか(凡人であればなおさら)。
<楽しめる>かどうかは、とても大切なポイントなのです。
ドラッカー氏の言葉
不得手なことの改善にあまり時間を使ってはならない。自らの強みに集中すべきである。無能を並みの水準にするには一流を超一流にするよりもはるかに多くのエネルギーと努力を必要とする
出典:『ドラッカー名言集 仕事の哲学』P.F.ドラッカー 著、上田惇生 訳/ダイヤモンド社
これは有名なドラッカー氏の言葉です。
ひと昔前までは、成功するまで努力をし続けることが美徳とされていましたが、もはやこれは時代遅れのパワハラですよね!?
たとえ不得意なことであっても努力し続ければ、(他の人との比較という意味では)得意のレベルに到達することは可能かも知れません。
しかし、そのレベルに到達するまでの労力は、それを純粋に<楽しめる人>と比較すると雲泥の差があるはずです。
為末氏によれば、<楽しめる人>は努力していると感じることなく、ただ単に楽しんでいるだけなのです。
興味のない分野に努力できる天才は、もしかしたらいるかも知れません。そして<楽しめる人>のレベルを上回る可能性も否定できません。
しかし、<楽しめる人>は努力せずに(努力とは感じずに)レベルを上げていけるのです。<楽しめる>場合を除いて、不得意なことに労力をかけるのは、効率が悪いと思いませんか?
確認しておきたいこと
もしあなたが「しんどいな・・・」と感じているとき、今取り組んでいる<こと>を楽しめていないのかも知れません。
そのような場合、次のような考えが頭によぎりませんか?
- 今頑張っていることをやめてしまっていいのだろうか?
- 頑張っていることを<好き>に変えられないだろうか?
- 自分のやりたいことは何だろうか?
詳しくは【疲れた心が楽になる】本を探すためのヒントでも書きますが、オススメ本や読むべき本のテーマについて、少しずつ触れていきたいと思います。
① 今頑張っていることをやめてしまっていいのだろうか?
頑張ることに割く労力やストレスの度合いによると思いますが、【あきらめる】というアプローチが参考になると思います。
【あきらめる】というワードをネガティブなイメージから、ポジティブにとらえなおすことの大切さを書いた本は意外と多く存在します。
その中でもイチオシは、先ほどご紹介した為末氏の『諦める力 ~勝てないのは努力が足りないからじゃない』です。
おそらく、この切り口で話題になった最初の本ではないでしょうか。
その他の【あきらめる】や【頑張らない】をテーマにした本は以下にまとめたので、是非参考にしてみてください。
② 頑張っていることを<好き>に変えられないだろうか?
仕事術の本ではたまに見かけたことのあるテーマですが、最近はあまり見かけません。
<嫌い>を<好き>に変えることは不可能かもしれませんが、やり甲斐が感じられるレベルまで意識を変えることは可能かもしれません。
このアプローチは一時的にストレスを強いる方向性なので、このブログの主旨が【疲れた心が楽になる】なので、正直オススメしにくいのですが、1冊だけ私のお気に入りの本をご紹介させていただきますね。
つらいと分かっていて【受け入れる】判断をする方向性については、『仕事はどれも同じ 「今やっている仕事」を「やりたい仕事」にする方法』がオススメです(紹介記事も書きましたのでこちらをご参考ください)。
③自分のやりたいことは何だろうか?
【疲れた心が楽になる】というテーマから少々外れますが、自分がやりたいこと、好きなことが分からないという人もいらっしゃるのではないでしょうか?
上記の2冊はオススメです(2冊目の紹介記事はこちら)。
心をラクにするためには、努力せず、ストレスを感じずに取り組める<こと>を見つけることが、解決の糸口になったりします。
楽しみながら続けることができれば、その道で一流と呼ばれるようになることも夢ではないかもしれません(同じように楽しめる人間が数多くいる分野では、それなりの努力が必要になるとは思いますが)。
まずは、あまりハードルを上げずに、【疲れた心が楽になる】ことを目指しましょう。
まとめ
そもそも「仕事なんて楽しめるわけないでしょ」という反論が出てきそうですが、<やり甲斐を感じられる>くらいに考えて頂いて問題ないと思います。
このページの内容にあまりしっくりこなかった場合には、次の記事の【疲れた心が楽になる】本を探すためのヒントをお読みいただければ、私の言いたかったことが伝わるかも知れません。
(補足)
このページの後半は、<こと>というワードが目についたかも知れません。次の記事では、<こと>や<人>に着目して話を進めていきますので、前振りをかねて表現を変えてみました。
この記事のまとめ
- <楽しめる人>が努力や天才に勝ることを認識する
- 楽しめる<こと>に取り組めば心が楽になることを知る
- 楽しめる<こと>に取り組むためには【あきらめる】ことも大切
- 楽しめる分野では【努力する】ことを意識せず一流になれる可能性がある